アルコールチェックの運用ルールや準備品とは|効率化についても解説
Column コラム
2022年10月から、運転者の酒気帯びをチェックする際、アルコール検知器の使用が義務づけられる予定でした。しかし、昨今のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、「当分の間適用しない」と発表されています。とはいえ、義務化自体がなくなったわけではありません。
今回の記事では、アルコールチェックの運用ルールや正確にチェックできる検知器について解説します。基本ルールのほか、効率化のポイントもご紹介しますので、運用に課題を感じている方はぜひ最後までご覧ください。
アルコールチェックを運用する前に行うこと
アルコールチェックとは、機器に直接息を吹きかける、またはストローに息を吹き込み、ドライバーが酒気帯びかどうか判定する行為を指します。
2022年の道路交通法改正で、安全運転管理者の業務として「運転者の運転前後のアルコールチェックと記録保管」が追加され、義務にもなりました。その後、社会情勢の変化によってアルコール検知器使用の義務化のみ、無期延期された状態です。
しかし、義務化そのものがなくなったわけではありません。いずれ検知器を使ったアルコールチェックが始まる前に、行っておくべき点がいくつかあります。
- 担当者の選任
- 検知器の導入
- 社内への周知
それぞれどのような内容なのか、詳しく解説します。
担当者の選任
アルコールチェックの担当者は、誰でもよいわけではありません。基本的に、チェックを行うのは安全運転管理者です。道路交通法第74条の3第1項および第4項により、一定台数以上の自動車を保有する場合は、安全運転管理者と副安全運転管理者の選任と設置が定められています。
しかし、安全運転管理者が不在だったり、チェックが困難な状態だったりするケースも考えられます。その場合、代理で行うのが副安全運転管理者です。
そのほか、「安全運転管理者の業務を補助する者」も代行できます。アルコールチェックをスムーズに行うために、あらかじめ担当者を決めておきましょう。チェックを行う可能性がある従業員には、業務内容の教育も必要です。
検知器の導入
アルコールチェックのために検知器を導入する際、どの製品でもいいわけではありません。国家公安委員会が検知器の基準を定めているため、クリアしている製品を選ぶ必要があります。
国家公安委員会は国家公安委員会告示六十三号において、「呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器」と定めています。
細かな機能やチェックの精度は製品によって異なります。しかし、音や色、数値で酒気帯びの有無がわかれば問題はなく、製品の具体的な指定はありません。選定の際に十分な機能があるか確認しましょう。
目視等で酒気帯びの確認をするには限界があります。虚偽の報告がなされる、もしくはアルコールチェック運用が形ばかりのものになりかねません。意味のあるチェックが行われるよう、事前準備をしっかりと行いましょう。
社内への周知
アルコールチェックを抜け・漏れなく行い、記録していくには、社内で運用内容を周知し、定着するまで指導を行う必要があります。せっかくチェックを行っても、基準を満たしていなければ意味がありません。確実に法改正に対応できるようルールを定め、従業員に周知を徹底する必要があります。
また、ルール内容を確認し、理解するまでには時間が必要です。事前に対象者に周知し、理解するまでの時間を確保しましょう。周知が直前になっては、運用開始までに理解しきれない可能性もあります。対象者が対応できる状態になってから運用を開始できるよう、余裕をもって周知しましょう。
運用ルールと注意点
アルコールチェックを行うには、以下のような基本ルールがあります。
- アルコールチェックを行うタイミングは運転前と運転後の2回
- アルコール検知器の使用
- 安全運転管理者の目視等による確認
基本的な内容を押さえていないと、不十分なチェックになってしまいます。記録は保存期間も決まっているため、注意が必要です。
ここでは、確認する必要がある内容や、注意点などを解説します。すでに運用を始めている方も、ルールが十分な内容になっているか、確認するためにご活用ください。
必要な内容と保存する期間
安全運転管理者は、道路交通法において「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認する」よう定められています。
確認後に記録するのは以下の内容です。
- 確認者の氏名
- 運転者の氏名
- 運転者の業務にかかる自動車ナンバーまたは識別できる記号番号
- 確認日時
- 確認方法(アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的な方法)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- そのほか必要事項
記録内容は1年間保存しなければなりません。専用の記録簿を作成する、もしくは既存の運転日報などに欠かさず記録し、保管・管理しましょう。
アルコール検知器の使用については、2023年5月時点では義務化されていません。しかし、すでに検知器が準備できている企業や事業所においては、チェック時の使用が推奨されています。
対面でチェックできない時の注意点
運転者が直行直帰する場合など、確認者が対面でチェックできない場合もあるでしょう。その場合は、以下のような方法でチェックを行います。
- カメラやモニター等によって、ドライバーの顔色、応答する声の調子等で酒気帯びを確認する
- アルコール検知器の測定結果を報告させる
アルコールチェックは、確認者が運転者と対面で行うのが基本ルールです。確認者と運転者は、何らかの形で直接対話する必要があります。そのため、メールやチャットでの報告は認められません。
カメラやモニターによって顔を見てチェックする場合、スマートフォンやパソコンを使って、オンラインで確認ができる環境を整える必要もあります。慣れない従業員には、事前に使い方の指導を行うと確実でしょう。
アルコールチェックを効率的に行うポイント
新たな業務が増えると、従業員への負担も増える点が懸念されます。できるだけスムーズに、効率的にチェックを行うためのポイントをご紹介しましょう。
ポイント1:チェック体制やフローを整備する
ポイント2:周知と教育を行う
ポイント3:検知器の数に余裕をもつ
運用前に確認するだけでなく、課題解決のための見直しも効果的です。それぞれの内容を具体的に解説します。
ポイント1:チェック体制やフローを整備する
実際に運用を始めると、確認者や運転者から「こういった場合はどう対応すればいいのか」といった質問や疑問が出てきます。事前にさまざまなパターンを想定していても、実際に運用してみなければわからない点もあります。
質問・疑問が出てきた際に誰に確認すればいいのか、どのように対応するのか、緊急時であればどうするのか、など、確認方法も決めておくと安心です。何かあった時にスムーズに対応でき、ミスや対応の遅れも防げます。
また、担当者に負担がかかりすぎない体制を整える必要もあります。実情にあった体制やチェックフローになっているか確認しましょう。例えば、チェックにかかる時間を短縮したいのであれば、担当者の人数を増やす方法が考えられます。確認者を増やせば、一人にかかる負担も軽減できます。
ポイント2:周知と教育を行う
まず、運転者には「飲酒運転は絶対にしない、させない、許さない」といった基本を徹底させます。飲酒運転による事故の恐ろしさを合わせて伝えると、より効果的です。そのうえでアルコールチェックの周知を行うと、必要性が理解しやすくなるでしょう。
アルコールチェックの運用を始める前に、対象者全員に社内研修を行うのも有効です。アルコール検知器を運用する際も、事前に性能や使い方、運用方法を周知するとよいでしょう。使い方が分かっていれば、運用に対する心理的抵抗も低くなります。
何のために行っているのかが分からないと、運用と管理の徹底は困難です。従業員への周知と教育に、しっかりと時間を確保しましょう。
ポイント3:検知器の数に余裕をもつ
アルコールチェックを事業所などで行うルールにすれば、検知器を何台も用意する必要がありません。コスト削減にもつながります。しかし、従業員の人数に対して検知器の数が足りないと、適切なチェックができない、チェックに時間がかかるなど、支障が出てきます。
また、直行直帰する業務が多い事業所では、運転者に検知器を携帯させるシーンも増えます。直行直帰する運転者に携帯させても、事業所でのチェックが問題なく行えるよう、十分な数を用意しておきましょう。
チェックが必要な人数のほか、同じ時間帯にどのくらいの人数がチェックを行うのか、事業所外で使用する台数はどのくらいか、など、業務内容に合わせて台数を検討してください。
アルコールチェックを素早く・確実に行える検知器
「ゼネチェッカー」は、運転者の酒気帯びの有無の確認が素早く、簡単に行えるアルコール検知器です。4つのステップで認証・測定・判定・記録を実現できます。
- 認証:運転者の本人認証と検温を行う
- 測定:検知器に息を吹きかけてアルコールチェックを行う
- 判定:画面に測定結果が表示される
- 記録:測定結果は検知器本体にログが保存される
運転者の顔認証を行ってから測定しますので、なりすまし対策も万全です。
検知器本体には10万件の測定ログが保存できるほか、パソコンにエクスポートしての管理も可能です。さらに、運転者の顔写真、氏名、測定結果などをその場で印刷できるため、記録として利用できます。
道路交通法改正により、義務化される条件「1年の記録保持」にも対応できる検知器です。
運用ルールの周知と最適な検知器選びで効率化を図ろう!
新たな業務が加わると、従業員から反発が出るケースも少なくありません。しかし、「アルコールチェックを適切に運用すれば、結果的に運転者や事業所を守れる」と伝えれば、従業員も納得しやすいでしょう。スムーズな運用のために、事前の周知は大切なポイントです。加えて、事故や違反を起こさないよう、定期的に運転者への教育や指導も必要でしょう。
また、業務の効率化には、使いやすく、効率的にチェックや記録ができる検知器の使用も重要です。「ゼネチェッカー」は難しい操作が不要なので、日常業務に取り入れるのも容易です。今まさに抱えている課題解決のためにも、ぜひご活用ください。
Q&A
Q.対象者の人数に対して、必要な検知器の数は決まっていますか?
A.決まっていませんので、運用しやすい数を用意しましょう。
Q.記録の形式は決まっていますか?
A.記録が必要な内容を網羅していれば、どのような形式でも問題ありません。
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